リウマチとは
リウマチは、早期発見、早期治療がもっとも重要です。そのためには、まず、リウマチとはどんな病気で、どのような症状があらわれるのかを知ることが大切です。このページでは、関節リウマチの症状と病気の特性、治療すべき貴重な時期について詳しくご説明いたします。
関節リウマチはどんな病気?
関節リウマチの症状
関節リウマチの初期段階では次のような症状が出ます。- 関節が痛む
- 腫れている関節がある
- 手指がむくんできた
- 手がこわばることが多い、特に朝がつらい
- 体がだるい、微熱がある
単に「関節が痛くなる」といってもそのような病気はとても多いので、関節リウマチとは限りません。ただし、複数の関節が痛んだり、腫れをともなったり、朝に手がこわばったりする場合は、関節リウマチの可能性があります。
このような場合は、早急に医師の診察を受けましょう。そして可能な限り、リウマチ専門医を受診しましょう。早い段階でリウマチ専門医の診察を受けられるか否かが、病気のその後を大きく左右するかもしれません。
関節リウマチは、30~50代の女性に多く発症する病気です
関節リウマチの発症のピークは、30~50代ですが、60歳以降に発症する方も少なくありません。男女比は、男性にくらべ女性の方が約4倍も多く発症しています。
関節が腫れ、放っておくと関節が変形してしまう病気です
関節リウマチは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊され、関節の機能が損なわれて、放っておくと関節が変形する病気です。関節の腫れや激しい痛みを伴います。
発熱、疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管など全身に広がることもあります。貧血・目の乾き・充血・息切れ・口の乾き・口内炎・リンパ腺の腫れなどの症状が出ることもあります。
早期に発見、早期に治療すれば進行を抑制できます
最近の研究では、関節破壊は関節リウマチの発症後、早期から進行することが明らかになっています。しかし、早期に発見し、早期から適切な治療を行えば、症状をコントロールでき、関節破壊の進行を防ぐことができます。
関節リウマチかな?と思ったら、ひとりで悩まず、リウマチ専門医の受診をおすすめします。当院ひろた内科クリニックは、内科・アレルギー科併設です。他の診察のついででも構いませんので、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
関節リウマチとは
関節リウマチとは自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患とは、本来自分の体を外敵(ウイルスや細菌など)から守るために備わっている免疫機能が、自分の体を敵とみなして攻撃をしてしまい、その結果、炎症が起きる疾患のことです。
自己免疫疾患には多くの病気が属しますが、そのうち関節の中の滑膜をターゲットにした自己免疫疾患が関節リウマチです。
原因は不明ですが、遺伝的因子と環境的因子が絡んでいると言われています。自己免疫疾患は多少の遺伝性があり、関節リウマチの患者さまのご兄弟、お子さまに発症する例は散見されますが、関節リウマチそのものが遺伝疾患とは考えられていません。患者数は国内に約70万人と言われています。
関節リウマチの経過
リウマチの経過として代表的な3つのタイプを示します。
- 単相性:発症後3~4年で寛解し、その後寛解が維持されるもの
- 多相性:症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すもの
- 進行性:どんどん悪くなってしまうもの
治療上問題になるのは2と3のケースでしょう。昔は、この2つの経過だと、早晩関節破壊が進行し、関節変形あるいは寝たきりになるなど深刻な障害を背負うことになっていました。
メトトレキサートが出現し、疾患コントロールは飛躍的に向上しましたが、それでも破壊が止められないケースは多く残っていました。
ですが、最新の治療である生物学的製剤は、今までにない治療効果をあげて、かなりの重症例でも寛解に持ち込めるまでになってきています。リウマチ治療は、生物学的製剤の出現によって、従来の関節リウマチの経過を大きく変える革命的時期に差しかかっているといえます。
合併症とは
関節リウマチは病名に「関節」とついているからか、関節だけの病気と思われがちですがそうではありません。基本的には全身性疾患と考えます。そのなかでも頻度が多く重要なものとして、肺疾患、血管炎、骨粗鬆症、アミロイドーシス、シェーグレン症候群などがあげられます。
肺疾患には間質性肺炎や慢性細気管支炎などがあります。アミロイドーシスは長期間コントロールが不十分な例に多く、アミロイド蛋白が全身に沈着し、場合によっては心不全、腎不全、吸収不良症候群などを引き起こし致命的になる場合があります。
このように関節リウマチは全身の臓器障害を合併する可能性があるため、十分な内科的知識を持った医師による管理が重要なのです。
初期治療の大切さ
昔、関節リウマチの治療は有効な治療法もなく対症療法のみで経過を見ることが通常でした。今から40年ほど前は全く病気の進行を止めることができず、数年で骨破壊が進み、その後どんどん関節変形が進んで寝たきりとなり、亡くなる患者さまが後を絶ちませんでした。関節リウマチは不治の病と考えられた時代のことです。
現在、抗リウマチ薬には免疫抑制薬や生物学的製剤など関節破壊を止めるだけでなく、修復する可能性のある治療まで出現し、寛解や完全治癒まで目指せる時代になっています。
そんな中で、さらに重要なことが判明しました。早期治療の重要性が明確になったのです。アメリカリウマチ学会のガイドライン(治療指針)上でもそのことが強く示され「診断がついてから3ヵ月以内」により有効性の高い抗リウマチ薬による治療を行うことを推奨しています。
貴重な時期
関節リウマチにおける関節のびらん(微小な骨関節の破壊)は発症後2年以内に急速に進行することということも判明しました。これまでは、長い時間をかけてだんだんと破壊が進むと考えられていましたが、より初期に関節破壊が形成されるとわかったのです。
このため、発症初期2年間(実際は半年から1年くらい)に、より積極的に、徹底的に治療を行うことで、10年、20年先の関節予後がまったく違ってくることもわかりました。
この2年間のことを「Window of opportunity(治療効果の最も高い限られた時期)」といい、治療に重要な時期と位置付けられています。この貴重な時期を逃さず治療導入することが、関節リウマチ悪化を克服するのに最も重要であるといわれています。
ところが、残念ながらこの貴重な時期を生かすことができない患者さまも多くいらっしゃいます。リウマチ専門医に到達するまでに多くの医療機関を受診したり、周囲の人からすすめられる根拠のない民間療法に時間もお金も費やされるうちに、この貴重な時期を逃すケースが後を絶たないのです。
ようやく専門医の診察室に入ったときにはすでに不可逆的な関節破壊が進行している、そのような患者さまが本当に多いのです。ぜひこの「Window of opportunity」という重要な概念を知っていただき、貴重な治療のチャンスを逃さないでいただきたいと切に思います。
寛解と完治
一度発病した病気が、治療などによって血液検査が正常化し、痛みや腫れなどの症状も改善し、日常生活が支障なく送れるようになるなど、健常者と全く同じような状態を維持できるようになることを「寛解」といいます。
寛解状態を維持するために薬を必要とすることがあるため「完治」とは言えませんが、これまで関節リウマチはこの寛解状態に持ち込むことが極めて困難でした。それが最近では、治療法の飛躍的進歩により寛解導入が可能になってきています。
リウマチ専門医の管理のもとで積極的に治療を受け、寛解を目指す方々が増えることを願っています。